以下は、加賀登場作品関係『卒業』『眠りの森』『悪意』『嘘をもう一つだけ』等のネタばれ有りです。
『眠りの森』のその後の二人って非常に気になるものです。 加賀さんはその後も他の作品に登場しますが、このへんについては ほとんど直接の言及ないですし。 二人は、幸せになれたのか。 未緒は実刑だったのか。執行猶予だったのか。 二人は付き合ったのか、結婚したのか、そのまま分かれたのか。 ちょこちょこ想像したりしちゃうんですが。 もちろん、結論なんてでないんですけどね。
直接の言及ではないけれど短編集『嘘をもう一つだけ』では、 非常に気になることを2回、加賀さんは言います。 ひとつは第1話の「嘘をもう一つだけ」。
「十五年前の新聞に出ていました」これは「眠りの森」以来バレエが好きで言葉通りに単に興味がある、 ってだけなんでしょうけど、 15年前の新聞、というのが、ひょっとしたら「眠りの森」当時の スクラップだったら?、とつい邪推してしまいます。
「お調べになったの?物好きね」
「前にも申し上げたでしょう。バレエには少々関心があるんです」"少々関心"なんて言い方も気になります。 単に相手が他人/犯人だから控えめに表現したのかもしれないけれど、 "バレエ鑑賞が趣味"と言えない程度にはバレエとは離れている ようにも思えます(ちょっと未練ぽくも)。 奥さんや恋人がバレエをしていたら、もうちょっと違った表現に なっててもよさそうに思えますし ……これについては、もう一つのセリフ。 最終話「友の助言」で大学時代の友人に向かって、
「…刑事の俺に相談に乗れることなんてない。 となると、家族のことしか考えられない。 それも奥さんのことだ。 子育てのことを独身の俺に話したって仕方ないからな」無慈悲な決定打、 独身であることが明言されてしまいます。 未緒とは、結婚しなかったか、離婚した、ってことになりそう。 まだ結婚してないとすれば、 わかれたか、 現在進行形で付き合っているか (裁判の次第によっては出所を待っているか)、 てことになりますけど、雰囲気や“独身の俺に”なんて言い回し をしちゃうのを思うと現在進行形で付き合っていない可能性の ほうが高いかも、て気はします(どうなんだろ自信なし)。 "子育て"はわからなくても奥さん/夫婦のことなら相談乗れそう、 と友人に思われるだろう状況があるというのは、 加賀さんが結婚か同棲してたことがある可能性も結構 あるようにも思えてくるし… もちろん経験なく相談されても十分おかしくないのですが。 (けど東野作品では 「しのぶセンセにサヨナラ」での山下先生のように いい男になるには離婚や大後悔の経験をしてそうですし:-)未緒を思うと、『卒業』の彼女と同様、 芯の強い女性、って感じもあります (そういう女性が好みなのか)。 耳が不自由で下手をすると前科もちになるかもしれない未緒が 刑事の加賀の足手まといになると考え、良しとしない、って のも結構ありそうな気もします (東野作品なので、ひょっとして未緒、実は 加賀さんにそれほど惚れてないのかも、って考えもおきるけど。 読み返す分には、そこまでひどいことはなさそに思える^^;)。
ところで、加賀さんって何歳位なんでしょうね。 『眠りの森』では若い刑事だった加賀恭一郎も 練馬署に移って『どちらかが〜』『私が〜』『悪意』 『嘘をもう一つだけ』では結構ベテランで油の乗ってる感じはするのだけど。 30台半ば前後って感じでしょうか?「友の助言」での大学の同窓生の友人の息子は来年小学校の幼稚園児ですね。だいたい6才。 この友人が大学出ての22,3から30位の間で子供を作ったとすれば、 28,9〜36。 (この友人は加賀さんが警官なってからの、互いに下積み時代で再会してウマが合った、 ようで再会の頃はまだ独身の可能性高そうに思えるので、子供は早くても20台後半かも)
『卒業』で教職の道を選んでいた加賀さんは、 『眠りの森』や『悪意』で 実際に教職についていたことが語られます。 とくに『悪意』では
…それから改めて彼を見た。十年ぶり、いやもっと長くなるか。…その彼がたった2年で教職を捨てることになったのには、 様々な事情が絡んでいる。と、10年以上前の話として 2年ほど教職についていたことが知れます。 つまり、『悪意』の段階で 35,6(22+2+11,2)位にはなりそうです。では『眠りの森』の場合はどうなんでしょう。 教職やめてすぐ警察に入ったとして24くらい。 警視庁捜査一課に勤務するには最短で何年かかるのか、 なんて知らないのでどうしようもないですけど、 「ミステリファンのための警察学入門」て本を見ると、 大卒だと最短で巡査部長になれて24、警部補になれて25,6 (実際にはもっとかかる)、ってことらしいので、 加賀さん2年遅いから運よく早くても 26〜27,8。 その他条件はぜんぜんわからないですが、 親御さんのこともあるし、剣道の腕前もあるので 結構有利なのかもって気もするので(て関係ないか)… 未緒に出会う“若い刑事” としては 28位までであってほしいと希望… などと書いたあとに『眠りの森』を見返してみれば、
彼女をここに連れてきた刑事だった。 こちらはまだ若く三十前後に見えた。と未緒が評してますやん^^;。 (書く前に軽く確認しててこれだ…ひでえ間抜け>己)
30前後ならぜんぜん現実的そう。『眠〜』で30、 『悪意』で35位だとすれば 5年後には確実に練馬署にいるわけだから、 そんなに長く捜査一課にはいなかった、てことになるのでしょうか。 他の事件を思えばもう少し前から練馬署にいるだろし、なんだか、 『眠りの森』に比較的近い時期に移っている可能性が高そうに思えてくる…… 自主的か外的かは別にして、未緒の件が絡んでる可能性も結構ありそうかも、と。
で想像するなら、未緒に入れ込んだために左遷てのより、 未緒の刑が軽く、 すぐにでも結婚(予定)して、 忙しすぎない部署へ転属願い、てのがらしいかも… 教師か警官で教師を選ぶ加賀さんなんだし。
あと、現代を舞台にした小説ゆえに、あまり、大きく発表(執筆)年代からずれないだろう、 という考え方もできるかもしれません。 (『卒業』86、『眠りの森』89、『どちらかが〜』96、『悪意』96、 『私が〜』99、『嘘をもう一つだけ』の問題の2作は99)
誤差を前後1,2年として各作品適当に都合のいい値にいじってみると、
『卒業』84(22),『眠〜』91(29), 『悪意』97(35), 『嘘〜』99(37),あ、でも『卒業』はトリックの素材とかを思うとも少し前でもよいように思えるので
『卒業』83(22),『眠〜』91(30), 『悪意』96(35), 『嘘〜』99(38),等という具合に想像してみることもできそうです。
しかしまあ、仮定に仮定。
練馬署での事件の順番はどう入れ替わっても問題なさそうだし (『眠〜』と『嘘〜』の間は、上のだと8年、発表年だと10年、 『嘘〜』が『悪意』と同時期なら4,5年… どのような違いになるかは、ようわからんけれど)、 2つの年齢に関わる記述は、いづれも地の文の情報でなく登場人物の 心の中ですし。 しかも二人とも犯人^^;。 この次、加賀さんの年齢のヒントをくれる人も犯人なのかも:-)
2002-05-06
2002-05-08 『眠りの森』"三十前後"の記述に気づき、修正
2002-05-11 『卒業』で教師か警官で教師を選んでた記述に気づき、修正